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六ヶ所村核燃料再処理施設って? (前編) [原発や核廃棄物]

***よこはま自然育児の会、自然育児の会に所属する2歳児のお母さんが、
「六ヶ所のことを書こう」と決意して、まとめたものを転載させていただきました。***

『再処理や原発のこと、イヤだイヤだと言いつつ、正直言ってちゃんとわかってなかったし、署名を頼んだ父から「署名はするが、人に頼むならちゃんと説明くらい出来ないとダメだ!」と言われ、悔しいやら、恥ずかしいやらという経緯があって、いつかちゃんと基本はおさえようと田中優さんのDVDとともに取り寄せた京都大学原子炉実験所の小出先生のDVDと小冊子を購入し、脱稿する前に「再処理を学ぼう&全国一斉署名」にチェックしていただいた原稿です。』

六ヶ所村核燃料再処理施設って?  (前編)

この11月から本格稼動の予定であった青森県六ヶ所村にある日本原燃(株)の再処理事業所は本格稼動は来年2月以降に延期となったものの、アクティブ試験という実際に稼動させての試験は既に昨年3月末から始まっています。
この施設=核燃料再処理施設とは一体何をする所なのでしょうか?

【まずは原子力発電所の話から】
原子力発電所では何やらむずかしい事が行われているという印象が強いですよね? でも原理は単純。火力発電所も原子力発電所も同じ大きな湯沸かし器なのです。電気を起こすにはタービン(羽車)を回して発電機を動かす(磁石を振動させることで電気を起こす)わけですが、そのタービンを回す動力は蒸気です。火力発電所では石油や石炭、天然ガスを燃やしてパイプの中の水を沸騰させ蒸気にします。原子力発電所では圧力釜(原子炉)の中、内釜(炉心)で燃料であるウランを燃やし、外釜の水を沸騰させ蒸気にします。ただ原子力発電所が火力発電所と違って非常に危険なのはウランを燃やすからです。ウランは広島型原爆の材料です。ウランは採掘する段階で放射能を多量に放出し鉱山労働者は被爆、土地は放射能汚染されます。そして原子力発電所には記憶に新しい新潟県中越沖地震での柏崎刈羽原子力発電所のように耐震性の問題があります。1986年のチェルノブイリ事故は休止中に実験を行っていたところ制御不能に陥り、爆発。放出された放射能は広島原爆500発分以上と言われています。

【原発の燃料であるウランを燃やすと…】
原子炉の中、ウランを燃やした後に残るのは死の灰=使用済み核燃料です。
原子炉の炉心(内釜の中)には燃料集合体というものが沢山並べられています。それは燃料棒と言われる金属製の細長いさや(直径約1cm長さ約4m)が束ねられた物です。燃料棒の中には燃料ペレット(高さ直径ともに約1cm)と呼ばれる瀬戸物が詰めてあり、その中にウランが入れてあり、その燃料ペレットの中でウランは燃やされます。なので、基本的には死の灰は瀬戸物の中に閉じ込められています。一部は外に漏れて来ても、周りには金属のさやがあるのでまがりなりにも閉じ込められています。しかし、時には金属に欠陥があり死の灰が漏れ出て原子力発電所の周りに汚染を拡げるという可能性は否めません。そして、その死の灰の中にプルトニウムという自然界には存在しない物質が出来るのです。

【プルトニウムって?】
原子力発電所でウランを燃やすと出来るプルトニウムは原子力爆弾(長崎型原爆)の原料となります。プルトニウム抽出の技術は第二次世界大戦中に原爆を作る為に開発されました(マンハッタン計画)。原子力技術とは元々は発電の為ではなく核兵器製造のために開発されて来たものなのです。

【さて本題の核燃料の再処理とは?】
原子力発電所で燃料であるウランを燃やしたあとの使用済み核燃料(核ゴミ)を再処理する目的はプルトニウムを取り出すこと。プルトニウムは核兵器の原料ですが、日本で核兵器を作る訳はなく、何に利用するのかと言うと「核燃料サイクル」というプルトニウムを燃料として燃やす特別な原子炉(高速増殖炉)をもつ原子力発電所を稼働させ、燃やした後はまた再処理しプルトニウムを取り出して燃料を作るというサイクルを実現することが原子力推進する人々の夢なのです。しかし、開発に一兆円を超える費用をつぎこんだ高速増殖炉「もんじゅ」は試験稼働直後に事故を起こし止まったまま。再処理して取り出すプルトニウムを有効に使う技術はいまだ実現の目処がたっていないようです。

【とてつもなく危険な再処理工場】
再処理工場では、まず始めに死の灰をせっかく中に閉じ込めていた燃料棒をブチブチにちょん切ります。死の灰の中にはさまざまな放射性物質が含まれていて、その中にはすぐ気体になり易いものもあり、それらは工場に設置した高い煙突からそのまま大気へ放出されます。(いくら高い所と言っても安全なのでしょうか?)そして、バラバラになった瀬戸物にはウラン、プルトニウム、死の灰が渾然一体となって含まれていて、それらを分離するために硝酸で溶かし、ようやく液体になった物にいろいろな薬品を加えて、死の灰はこっち、ウランはこっち、プルトニウムはこっちと分別されます。さまざまな行程で沢山の放射能が排気塔から出され、海へも流されます。それが再処理という作業です。これはプルトニウムを材料とする長崎型原爆を作ろうと思えば避けて通れない作業でした。日本は敗戦国で核開発が出来なかった為に技術がなく、国内の原子力発電所で出た使用済み核燃料の再処理はイギリスとフランスに委託していました。現在、海外に貯蔵してもらっている分も含め日本が保有しているプルトニウムの量は長崎原爆の何千発分にもなるそうです。

【取り出したプルトニウムは何に使う?】
さて、それほど溜め込んでしまったプルトニウム。夢の「核燃料サイクル」も目処が立たず。通常の原子力発電所での新たな燃料として使用するプルサーマル(再処理によって抽出したプルトニウムとウランを混合した特別な燃料=MOX燃料を普通の原子炉で燃やすこと)を行っても数%しかプルトニウムを利用出来ません。それなのに再処理工場でさらにプルトニウムを生産するという不思議な計画が進められているのです。

『では、そんな再処理工場からどの位の放射能が放出されるのか? 三陸の美味しい海産物は? 外から浴びるより怖い呼吸や飲食による内部被爆って何?
など次号後編では私達の暮らしに直結する問題を書かせて頂こうと思います。』

参考資料: 京都大学原子炉実験所小出裕章氏DVD「六ヶ所処理工場が問う私たちの生き方」、スロービジネスカンパニー発行「知ることからはじめようbeyond the nuclear age」


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